BEPSの最終レポートがリリース

10月5日に開催されたG20会議でOECDのBEPS(Base Erosion and Profit Shifting 財源侵食と利益移転)に関する最終レポートがリリースされた。昨今のグローバル企業の非常に手の込んだ、そして時には悪質な手法による租税回避への対策が主な目的だ。アメリカの名だたる企業群が大きな利益を上げていながら、各国の税制の抜け穴を利用し、移転価格やハイブリッドミスマッチ、知財やR&Dなどを巧みに組み合わせて、本来支払うべき税金を「合法的」に回避しているのは有名である。

新しいBEPSに関するレポートでは、国際的課税回避の抜け穴への対策を15のアクションプランに分けて論じている。その中でも、特に重点を置いているのは移転価格に関する対策と言える。このレポートによると、グローバル企業の移転価格のドキュメンテーションが義務付けられる見通しである。これまでも各国の税務当局はOECDのガイドラインに従ったレポートを用意しておくことを推奨してた。税務当局からの移転価格に関する調査があった場合、文書化がされていない企業は、当局からの移転価格根拠提示の請求への対応に失敗すれば、ペナルティが課されるというリスクはあった。しかし今後ドキュメンテーションの義務化が実施されれば、定められた規模の企業は移転価格レポートを用意、適時更新しなければならなくなる。

ちなみに、ハイブリッドミスマッチとは、各国の税制の抜け穴を突いた「二重非課税」や永遠に税金を繰り延べできる金融商品などの取引のことである。OECDが簡単な例を挙げて解説している。ある国では損金計上可能な利子が、受領国では配当と見なされて免税となるような、税金回避のためのデリバティブを開発することである。

ただ日本の企業に限れば、アグレッシブな税金プランを組んで租税回避している企業は比較的少なく、どちらかというと今回の決定は、タックスヘイブンと上記の手法を巧みに利用して租税回避することによって膨大なキャッシュを得ている欧米企業との競争力という立場から見たとき、むしろ歓迎すべきものではないだろうか。ただし、今後予想されるのは、OECDの移転価格に関するガイドラインのアップデートや、今回のBEPSの最終レポートを受けて各国の税制の変更等であり、グローバル企業は各国のコンプライアンスへの対応が課題となるはずだ。
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